申告等漏れは通算が不要に 厚労省・副業通達

厚生労働省は副業・兼業における労働基準法第38条の解釈に関する通達を発出し、労働者から申告などがなかった場合には、労働時間を通算する必要はないとする考えを明らかにした。
労基法は異なる事業主間でも労働時間を通算するとしている。通算は労働者からの申告などによって行うが、通達は申告がない場合には労働時間を通算する必要がなく、割増賃金も自社が把握した労働時間のうち、法定労働時間を超える分を支払えば足りるとした。労働者が許可を得ずに副業・兼業をしていたケースでは、労働時間を通算しなくても法違反に問わないとみられる。
労働者の申告が事実と異なっていた場合は、申告で把握した労働時間を通算し、割増賃金についても、把握した労働時間に基づき支払えば良いとした。副業・兼業については、厚労省が9月1日にガイドラインを改定し、新たに簡便な労働時間管理の方法として「管理モデル」を示していた。

少し前まで、就業規則に「副業禁止」が明記されている事業所が多かったように思うが、段々と副業が認められるような流れになってきている。

ある大手企業も「週休4日制」を導入するというようなニュースもあり、働き方改革や人件費削減の一環でもあるかとは思うが、副業や趣味、または介護等にも時間を費やせるというのが表立った理由のようだ。

今はテレワークの導入などで出勤日数自体が減っている人も多く、余暇で今まで興味のあった資格の勉強を始めたり、更にはそれを副業にしたり等、新しい事を始める良い機会にもなってきている。

今年の9月からは労災保険も副業を考慮した内容に大きく変更になっており、複数の会社で勤務していて、業務災害や通勤災害によりけがや病気になったとき等は、全ての勤務先の賃金額を合算した額を基礎に給付額等を決定する事になった。

労働時間においては、元々この「通算ルール」が適用されていて、本業・副業での労働時間を通算し、法定労働時間を超えた部分は、割増賃金の対象となっていた。

このルールでは本業・副業を問わず、法定労働時間を超えた時点で勤務していた事業所が割増賃金を負担しなければならず、例え1日1時間の勤務であっても、それ以前に8時間の勤務実績があれば、後の事業所の負担のみが増えるという多少公平性に欠ける点もあり、両社ともに勤務時間を把握している必要があるので、管理も煩雑でもあった。

また、今までの「副業禁止」の慣習もあり、先述の「週休4日」を掲げるような企業ならまだしも、一般的な週休二日制の中小企業などでは、ここまで世の中的に副業・兼業を推進されてきていても、なかなか認めづらかったり、労働者側からも言い出しづらかったりという面もあるように思う。

これからどの程度副業が広まり、一般的に認められるようになっていくかは未知だが、あくまでも労働者からの「自己申告制」とし、申告がなければ自社の把握している労働時間分のみの支給でOKというこの通達は、今は妥当なラインのような気がする。

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