【主張】後退できないテレワーク

本紙報道によると、大手企業を中心にテレワークを標準化する動きが広がっている。すでに、後戻りできなくなったというより、後戻りさせてはいけない。テレワークで、労働者側の負担が軽減されワーク・ライフ・バランスが向上するという側面がクローズアップされる傾向が強いが、企業側にも多くのメリットがあることを改めて認識し後退しないよう努力すべきである。
7月以降、再び新型コロナウイルスの感染が拡大している。一旦は緩和に向かったテレワークも、再度引き締め方向にある。大手企業では、コロナ禍を逆手にとってテレワークを標準化しつつある。本紙では、富士通グループ、キリンホールディング、カルビーのケースを取材した。富士通グループは、約8万人を対象にテレワークを基本とする「ワーク・ライフ・シフト」を推進しているという。
テレワークといえば、通勤の排除、育児・家事支援などが可能となり、労働者のワーク・ライフ・バランス向上がクローズアップされがちだが、企業側にも大きなメリットがある。とくに、研究・開発、営業、スタッフ職などの業務効率化や今後予想される大規模災害・再度のパンデミックへのスムーズな対応が可能となるほか、高齢者・障害者の活用、優秀な若手社員の確保にも効果が期待できる。労働力人口の減少が進むなか人材確保においてテレワークの標準化が欠かせなくなったとみていい。
厚生労働省が把握した実施例によると、新卒採用に苦慮していた企業が募集要項に在宅勤務・モバイル勤務可能と記載した結果、毎年300人以上の応募が続いたという。障害者雇用の効果としては、雇用率が2.2%に上昇した例もある。オフィス維持に掛かる固定費削減効果も見逃せない。富士通グループのケースでは、オフィスの活用方法を効率化して、2022年までに半減する方針を打ち出している。
中小企業では、テレワーク定着に向け手探り状態にあるといえるが、大手企業との競合の面からも後戻りはできなくなっている。

最近大手有名企業のテレワーク化のニュースを目にする機会が増えた。

そればかりか、リモートワークが可能になった社員の「田舎暮らし化」のニュースも頻繁に取り上げられている。

一時的ならまだしも、住居までも移転して地方での生活を選択するにはかなりの勇気がいるように思われるが、都会の喧騒を離れ、空気の綺麗な広大な土地で、心穏やかに仕事ができるような環境であれば、このご時世には選択肢の一つになるのも頷ける。

今年は一時的ではあったが、半ば強制的に「自宅待機」や「在宅勤務」を強いられた人も多くいた。

今まででは考えられなかった窮屈な環境で仕事せざるを得なかった経験も多かったかと思うが、割とスムーズにテレワークに移行していた業種・企業もあったようだ。

元々そういった勤務形態を導入していた企業は別として、全く導入していなかったが現在もその状態を継続しているような所は、おそらくスムーズに移行が出来、更にテレワークでのメリットを多く感じられた企業であろう。

上記にもあるように従業員側の主なメリットは「通勤の排除」、「育児・家事支援が可能」、「労働者のワーク・ライフ・バランス向上」等。

企業側には「業務効率化」、更には「今後予想される大規模災害・再度のパンデミックへのスムーズな対応が可能」という大きなメリットがある。

このメリットこそ今の時期にはとても重大な意味があり、おそらく大企業はその局面への対応も含め、大々的に移行している流れになっているのではないかと思う(もちろん導入にも莫大な費用や労力が必要であり、その意味でも後退出来ず、大々的に進むしかないが。)

その一方で、一時的にテレワークを導入した企業の多くが、今ではほぼ通常通りの出勤スタイルに戻っているのも事実である。

「家では集中出来ない」、「仕事が出来る環境がない」、「機密事項を社外に持ち出せない」等、テレワークのデメリット面を多く感じられてしまった企業は、やはりなかなかその先へは踏み出せないであろう。

ただ、メリットは全くなかったわけではないと思う。

無駄な会議や不要な書類、満員電車の苦痛や苦手な上司・部下からの視線など、人それぞれではあるが何かしら新しい気付きやメリットがあったのであれば、大手企業のように大々的に標準化するのはなかなか難しいが、小さい事から少しずつ前進していく事は出来るかもしれない。

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