上肢障害の労災認定の基準について(2012年9月24日)

手関節炎や腱鞘炎などは、上肢障害と呼ばれます。

手を酷使しすぎて腱鞘炎になった、

姿勢が拘束されて首から肩にかけて炎症を起こした、

などの話を聞くことがあります。

仕事が原因であれば労災の対象になりますが、

家事や運動など日常生活の中で発症する場合や、

加齢や体力、体質など個人の肉体的要因によって

発症する場合もあります。

そのため、それが業務を行うことによって発症したのかどうか

判断が難しいところです。

そこで、日常生活などの要因による発症も検討した上で、

次の3つの要件をすべて満たしていれば労災と認められます。

  1. 上肢等に負担のかかる作業を主とする業務に当期間(原則として6ヶ月以上)従事した後に発症した。
  • 発症前に過重な業務に就労していた。

  • 過重な業務への就労と発症までの経過が医学上妥当なものと認められること。

1でいう「上肢等に負担のかかる作業」には、

パソコン入力、調理作業、運搬、組立てなどの反復作業、

流れ作業による塗装や溶接など上肢を上げた状態で行う作業、

上肢の特定の部位に負担のかかる保育、看護、介護作業、

首や肩の動きの少ない検査作業が該当します。

2の「過重な業務」については、細かい基準がありますが、

年齢や性別、作業内容も同じ従業員と比べて業務量が多い、

長時間作業、過度の緊張があったかどうかで判断します。

実際に労災認定になった事例として次のものがあります。

Aさんは入社後2年間、パソコンで顧客情報を入力する作業に

従事していた。

肘から指先にかけてしびれと痛みを感じ、医療機関を

受診したところ「腱鞘炎」と診断された。

〔判断〕

発症直前の3ヶ月間、

Aさんと同じ作業を行う同僚の1時間の平均入力件数が

約80件だったのに対し、Aさんの入力件数は約100件だった。

Aさんの業務量は同種の労働者と比較して

おおむね10%以上多かったため、

過重な業務に就労していたとして労災認定されました。

上肢障害が発症した場合には、対象業務から外してみたり、

業務から離れないまでも適切な作業の指導・改善等を行っていれば、

症状は軽快すると考えられます。

異常を感じた時は早めに受診をして、

労災と認定された場合には、治療に専念させることが大切です。

また、職場復帰の際には再発防止のための労働環境の改善が必要になってきます。

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